滑走路 2015 11 15

 中国が、南シナ海で、
大規模な埋め立て工事によって、
人工島を作っている問題については、
何が一番問題かというと、3000メートル級の滑走路です。
 どこの国でも、漁業資源や海底資源の確保を狙って、
暗礁に灯台を建てることは、よくあることです。
 問題は、大規模に埋め立て工事をした上に、
滑走路を作っていることです。
しかも、3000メートル級の滑走路です。
 1000メートル級の滑走路では、プロペラ機のみ離着陸が可能です。
これが、2000メートルを超えると、戦闘機の離着陸が可能となります。
3000メートル級となると、大型の爆撃機の離着陸が可能です。
もはや、軍用の人工島を作っているのが明白です。
 もちろん、中国にも焦りがあるでしょう。
空母実験船「遼寧」の運用実験で、わかったことは、
中国には、実用的な空母を持つことができないことが明白になったこと。
しかも、将来にわたって実用的な空母を作ることができないことが明白になったのです。
 空母の建造は、基礎的な技術の「積み重ね」と「すり合わせ」が重要です。
しかも、そういう技術の「積み重ね」と「すり合わせ」は、数十年の歳月が必要です。
こういうことは、中国人が最も苦手とするところでしょう。
 そういうわけで、中国は、
南シナ海に浮かぶ「暗礁」を「不沈空母」にする必要性を考えたのでしょう。

空母いぶき 2015 10 11

書名 空母いぶき
著者 かわぐち かいじ  小学館(ビッグコミック)

 この漫画が描かれた背景として、
国際情勢の大きな変化があります。
 アメリカでは、大統領が「世界の警察官をやめる」と演説し、
北朝鮮では、三度目の核実験が成功し、事実上の核兵器保有国になり、
中国では、軍事予算が2001年には1500億元程度だったものが、
今では、9000億元に迫ろうとしています。
この間、日本の軍事予算は微増という状態でした。
 平和ボケで、のんびりしていた日本も、
さすがに、「このままでは、まずい」と気づいて、
「自分の国は自分で守る」という体制に移行せざるを得なかったのです。
 この漫画では、こうした国際情勢の激変を受けて、
空母「いぶき」が建造されることになったのです。
 ただし、「いぶき」の姿は、
専守防衛という方針により、実に控えめな姿となっています。
 艦載機の発艦方式は、スキージャンプ方式になっています。
おそらく、スキージャンプ方式では、実戦では役に立たないと思います。
空母を実戦で使いたいならば、カタパルト方式にする必要があります。
 実際にスキージャンプ方式で運用すると、あらゆる欠点が噴出して、
「これは実用的でない」と気づくでしょうが、
その時は、軍事予算の無駄遣いにも気づいたことにもなります。
 もちろん、スキージャンプ方式でも、
「威嚇」や「抑止力」としては、役立ちます。
 おそらく、日本は専守防衛であることを示すために、
あえてスキージャンプ方式を採用したのだと思います。
 また、スキージャンプ方式の欠点を補うために、
艦載機には、F35Bを採用したと思われます。
F35Bは、短距離離陸・垂直着陸ができる艦載機です。
 しかしながら、空母に垂直着陸をする場合、
時間がかかるうえに、相当な技術も必要です。
これでは、実戦では、実用的とは言えません。
 さらに、F35Bは、カタパルト方式のF35Cよりも能力が劣るのです。
それならば、素直に、F35Cとカタパルト方式の空母を選択すべきです。
 もちろん、日本は専守防衛という方針があるので、
F35Cとカタパルト方式の空母では、あまりにも実用的であり、
つまり実戦的であるので採用できないという「政治状況」があるのでしょう。
 さて、費用対効果を考えて、
つまり、より少ない予算で、最大の効果を発揮するには、
空母保有ではなくて、潜水艦に巡航ミサイルを搭載することです。
 現在でも、日本の潜水艦は、巡航ミサイルを発射できる「仕様」になっています。
あとは、巡航ミサイルを買ってくるか、自前で作るかになります。
 現代の最強兵器というと、
ステルス戦闘機を連想しますが、
本当は、潜水艦です。
 そのほかに、制空権が確立されていれば、
空中給油機の活用という「奇策」があります。
 空中給油機は、戦闘機の航続距離を伸ばし、
なおかつ滞空時間を増やすということで、
空母のような効果が期待できます。




















































































スマートフォンのトップページへ